22カ月ぶり倒産増加

ここ数年、新型コロナウイルス禍に苦しめられ、ゼロゼロ融資などでなんとかピンチを乗り切ったとはいえ、いまだ終息の見えない状況によりコロナ前の業績には戻ることなく、借金増加が将来への不安材料になっている中小企業は少なくない中、今度はロシア・ウクライナ情勢、原材料価格高騰、円安という新たな問題が直撃し、経営状態をより悪化するという状況になっています。

そんな中、帝国データバンクが全国の企業に対して行った価格転嫁の状況においては、仕入れコスト上昇分に対する価格転嫁できた割合は、企業は全体の73.3%を占め、価格転嫁率の平均は44.3%となっているようです。

仕入れ価格が100円コストアップに対する売価への反映は、現状44.3円にとどまっているようで、残りの55.7円は自社負担している現状が浮かび上がってきているようで、この我慢くらべもそう長くは続きそうもなく、業種別(大分類10業種)に価格転嫁率を見ると、50%を超えたのは「卸売」(58.3%)と「小売」(53.1%)の2業種のみで、原油価格高騰の影響を大きく受けている「運輸・倉庫」はたったの19.9%とこれから2024年問題を抱えている中、日本の物流の安全性が脅かされています。

現状、価格転嫁に苦しむ企業が増えるなか、2022年5月の全国企業倒産(法的整理、負債1000万円以上)は517件となり、12カ月ぶりに前年同月を上回ったようで、各種支援策によるものとはいえ、倒産が抑制され続けるなかでの増加はインパクトが大きく、今回の「12カ月ぶり」は実質的に「22カ月ぶり」として捉えることができ、減少基調だった動向が増加基調に転じる過渡期に入る可能性もあるようです。

今後の見通しとして、帝国データバンクは「コロナ融資をはじめとした各種資金繰り支援策による倒産抑止効果に陰りが見え始めている」と分析している一方、急激な円安に原材料価格の高騰など懸念事項が山積し、「中小企業の経営環境にはかつてない程の閉塞感が漂い、企業倒産は今夏の国政選挙を前に控えながらも、これまでの減少トレンドから一転、増勢傾向が強まりつつある」としています。

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