MUFG、クレジットカード事業のシステム一本化

メガバンクの2020年3月期決算により、長年トップバンクであった三菱UFJが純利益で三井住友フィナンシャルグループに追い越されてしまったのは、記憶に新しいことですが、その三菱UFJフィナンシャル・グループが約1000億円を投じ、クレジットカード事業のシステムを一本化するのだそうですよ。

これは過去の合併によって3種類のシステムが併存する非効率な運営を改めることが目的のようで、これまで新技術の採用や決済データの収集などで競合他社に後れをとっていた部分を改善するようですね。

カード子会社である三菱UFJニコスには「DCカード」「MUFGカード」「ニコスカード」の3ブランドがあり、それぞれが管理システムを抱えていたことから、1つのシステムに比べ年数百億円の維持費が余分にかかっており、さらに新しい機能を追加するにも3つのシステム分の投資が必要になるという欠点があったようで、今回この無駄をなくすため、MUFGカードのシステムを残し、他の2つのシステムを廃止する方針を取るのだそうです。

とはいえ、3つのブランドは維持するようで、機能を移したり、能力を増強したりするようで、今後数年間で1000億円規模の開発費がかかるのだとか。

さらに廃止する2つのシステムのブランド下で事業会社と共同で発行している提携カードも追加の移管作業が必要となるのだそうで、相手企業との交渉を本格化させるようですが、この追加費用がかかるため一部の提携は解消されることにも繋がりそうです。

もともと三菱UFJニコスのシステムをめぐり、MUFGが独立した新システムの開発によって一本化する作業に着手したのは2016年まで遡り、当初は21年度までに1500億円を投じる計画だったのですが、その後、QRコード決済など新サービスが普及し始め、新システムの効果が投資に見合わなくなったとして18年度に中止し、約940億円の損失を計上していました。

旧態からの脱却

このように非効率なシステムを長く放置し、先延ばししてしまった遅れは大きく、家計簿アプリなど外部のスマホサービスとの連携がしづらい環境が残り、接続に時間がかかったり、データ共有ができなかったりするなどという欠点を抱えています。

致命的なのは、カードを読み取り端末にかざして使う機能すら付けられないという技術面での遅れは深刻で、競合のカード会社は決済データの活用を重視していく中、取り残された感が否めません。

三井住友カードは19年10月、カード利用者の購買動向を年齢や住所などに細分化して分析し、小売店などにデータを販売するサービスを始め、膨大な決済データを販売促進や品ぞろえに反映させる戦略を取り始めています。

三菱UFJニコスは、旧態化システムが重荷となり、データを集めにくく、この新機能の見劣りはカード会員数にも表れて、三菱UFJニコスが約1700万人なのに対し、三井住友カードは約4800万人にものぼるのだそうです。

決済手段の多様化が進んでいるとはいえ、クレジットカードはキャッシュレス決済の中でも主要な決済方法ではありますし、この部分の遅れが時間経過とともに現状を悪化させていったのでしょうね。

今後、MUFGはキャッシュレス戦略の中核に三菱UFJニコスを置くようで、アメリカのデータ会社っだるアカマイ・テクノロジーズとブロックチェーンを使った次世代の高速決済サービスを年内に提供し始める計画となっており、開発主体はニコスとなっています。

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