電通の前期は最終赤字

電通グループが、2019年12月期(前期)の連結最終損益(国際会計基準)が808億円の赤字(前の期は903億円の黒字)となったようですね。

前の期比93%減の62億円の黒字としていた従来予想から870億円下振れするのだそうで、オーストラリアで大口顧客を失ったほか、中国で現地の広告会社との競争が激しくなり、19年10~12月期に約701億円ののれん減損損失を計上するようで、さらには営業損益33億円の赤字も見込まれているようです。

電通グループが去年の業績を下方修正するのはこれが3回目となり、営業赤字になるのは平成13年に上場して以来初めてだということで、オリンピックを前に嬉しくないニュースですね。

のれん減損損失

のれんというのは企業を買収・合併する際に発生するもので、被買収会社の純資産額と買収価格の差額として資産に計上される無形資産の一種で、M&Aや事業投資において、減損処理と呼ばれる会計処理が必要となるケースがあり、投資の成果が芳しく無い場合、減損処理を行い資産価値を減額しなくてはいけません。

減損処理自体は、固定資産に関する会計処理の一つで、投資が回収できない見込みがでてきた場合に、その見込みを財務諸表に反映させるための会計処理で、投資金額を回収できないと認識した時点で、回収可能な金額まで固定資産の価値を減少させる会計処理。

日本の会計ルールでは、企業買収(M&A)の際に発生するのれんは20年以内の一定期間で償却するのですが、米国会計基準、国際財務報告基準(IFRS)の場合では、のれんは毎期償却するのではなく、のれんの価値が毀損した場合のみ減損処理が求められます。

日本では少子高齢化の時代背景もあり、事業承継のため、事業規模拡大のため等、様々な理由でM&Aを実行するケースが増加しています。

「のれん」や「のれん代」は、M&Aを検討する際に抑えておくべき会社売却の基礎的な内容となっていますから、M&Aに携わる人であればしっかりと理解をしておく必要があります。

のれん減損の要因というのは、実態以上の買収価格が設定されることにあり、そのため、できるだけ実態と買収価格との関係を近づけること、また実態を経営努力で少しでもよい状況にすることで、のれん減損を回避するための対策を立てることができます。

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