赤字でも消費税は発生するのか?

2019年10月に消費税が10%となり、その影響があちこちに出始めてきており、先行きの暗い日本ですが、水面下ではさらなる引き上げが、ほぼ避けられない状況になっているなどという噂もありますね。

増税は景気が悪くならないタイミングを見計らって実行すべきだったのに、あの時期に強行してしまったのは本当に痛いですよね。

さて、そんな消費税ですが企業側からみると、消費税の計算方法には「原則課税方式」と「簡易課税方式」の2つの計算方法があります。

原則課税方式

原則課税方式というのは、文字通り、売上の際、顧客から預かった消費税から、仕入れなどに支払った消費税を差し引いて計算する方法で、会社側からすれば、消費税をスルーするだけなので、損もしなければ得もすることはありません。

一般課税ともいわれ、基準期間における課税売上高が5,000万円を超える事業者は原則課税によって消費税を納めることになっています。

簡易課税方式

簡易課税方式の場合は、売上の際に預かった消費税から売上消費税に一定のみなし仕入れ率をかけた金額を支払った消費税とみなして、その差額を支払うというもので、実際に支払った消費税は一切関係なく、売上高と業種ごとに異なる「みなし仕入れ率」をもとに支払うべき消費税を計算する方法で、実務的には、先程の原則課税方式に比べると、計算がかなり簡単になります。

基準期間における課税売上高が5,000万円以下で、かつ、適用を受けようとする課税期間開始の前日までに「消費税簡易課税制度選択届出書」を提出している事業者であれば簡易課税制度が利用可能なのですが、一度選択してしまうと原則として2事業年度継続して適用しなければなりません。

赤字の場合の消費税って・・・

さて、そんな消費税ですけど、赤字の場合って一体どうなるのでしょうかね?

例えば100万円の仕入れがあり、その場合は消費税が10万円となります。
150万円で販売したいのですが、これが一向に売れず、消費税分だけがマイナス10万円となっています。

マイナスなんだから、消費税は払わなくてもいいでしょ?って思われがちですが、実は原則課税方式で考えると、人件費が高額となっていることによって赤字となっている場合は、消費税が発生する場合が高くなります。

というのも、人件費というのは消費税の課税対象ではないので、消費税が発生することはありません。

そうすると会社の決算的には赤字となっていても「預かり消費税 > 支払い消費税」となることがあり、決算が赤字となっていようが消費税の支払いが生じることになります。

簡易課税方式の場合は、その方式の通り、売上消費税に一定のみなし仕入れ率をかけて支払う消費税を決定しますから、赤字だろうがなんだろうが売上がある限り消費税の支払いは発生します。

事業によって異なるみなし仕入率

みなし仕入率というのは「この業種ではこの程度の費用が必要だろう」といった考えに基づいて定められた控除割合のことで、事業形態によって、第1種から第6種までの事業に区分され、それぞれの事業の課税売上高に対して、第1種事業なら90%、第2種事業は80%、第3種事業は70%、第4種事業は60%、第5種事業は50%、第6種事業については40%と決められています。

第一種事業(卸売業)90%
第二種事業(小売業)80%
第三種事業(製造業等)70%
第四種事業(その他の事業)60%
第五種事業(サービス業等)50%
第六種事業(不動産業)40%

それでは、2種以上の事業をしている場合の計算って一体どうするのでしょうね?いちいち分類しなければ計算できない?

いえいえ、2種以上の事業をしている場合の計算方法は、みなし仕入率の代わりに「平均みなし仕入率」を用いて計算することになります。

【2種以上の事業をしている場合の計算式】

仕入れの消費税額 = 売上の消費税額×平均みなし仕入率

とはいえ、2種以上の事業をしている場合であっても、特定の一事業または二事業の売上が75%以上を占める場合、その事業区分のみなし仕入率をその他事業全体に適用することができます。

是非フォローしてください

最新の情報をお伝えします