ソフトバンク、ムーディーズと対立

昨日、ソフトバンクグループが最大で4兆5000億円分の資産を売却し、負債の削減などに充てると発表したことによって、大手格付け会社のムーディーズがソフトバンクグループの格付けを「Ba1」から「Ba3」に2段階格下げし、さらに格下げ方向で見直すと発表しました。

これに対してソフトバンクグループは、ムーディーズから取得していた発行体および外貨建て債券の格付けを取り下げ、「基準を大きく逸脱したと思われる格付け評価は投資家に誤解を生じさせ、財務改善に取り組む発行体を大きく混乱させる」と批判しています。

ムーディーズは今回の格下げ理由について、中国のネット通販最大手のアリババの株式など、評価の高い株式の一部を売却した場合、信用力が悪化するおそれがあり、今後もさらなる格下げの可能性があるとしており、真っ向から対立する形となりましたね。

ムーディーズ

ムーディーズは、アメリカの民間企業で、スタンダード&プアーズ(S&P)と並ぶ2大格付け会社の一つでアメリカ大手債券の格付け機関業務を行っています。

1900年に設立され、1909年から格付けを行っており、現在アメリカだけでなくヨーロッパや日本、オーストラリアでも格付けを行い、世界格付けの40%のシェアを持っていて、あのウォーレン・バフェットはムーディーズの大株主でもあります。

そもそも「格付け」というのは、政府や企業、金融商品などの信用状態に対して付けられる等級のことで、国債や社債など、彼らの「借金」について「貸したお金がちゃんと返ってくるかどうか」を記号でレーティングしたもので、債権の元本・利息が確実に払えそうな国や企業は格付けが上がりますし、反対に返済能力が低いのであれば、格付けは下がることになります。

ちなみにムーディーズにおいての格付けは、最高の格付けは「Aaa」となり、この格付けがついている場合は、支払能力がきわめて優れている企業ということで、財務力は変化する可能性はあるが、予見できる変化によって基本的な財務力が損なわれることはないと判断され、投資対象としてリスクは最小限だといえます。

その次に「Aa」「A」「Baa」「Ba」・・・と続くのですが、この「Aa」から「Caa」までの格付けの中には、さらに1、2、3という付加記号が適用され、
1が格付けのカテゴリーで上位に、2は中位、3は下位にあることを示します。

ですので、今回ソフトバンクは「Ba1」から「Ba3」に下げられているので、最高位の「Aaa」から数えると11番目から13番目に下げられたということになります。

またこの格付においては、ムーディーズの場合はBaa格以上の債権のことを投資適格債といって、投資先として相応しいと認定されているものとして評価されており、Baa格以下のものは投資不適格債といって、信用度が低く、元本償還や利息支払いができなくなるおそれのある国債や社債などの債券を指します。

とはいえ、ハイリスク・ハイリターンの金融商品ともいえ、他の債券に比べ、利回り(リターン)が高いことからリスク選好時に投資対象として注目されることも多く、その一方でデフォルトリスク(信用リスク)が高くなっています。

つまり、今回ソフトバンクは投資不適格債の中でも一番上位に位置していた「Ba1」から「Ba3」に下げられたわけですから、反発が出るのも無理のないことですよね。

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