ソフトバンクグループ、過去最大の赤字

ソフトバンクグループが発表した、去年4月から今年3月までの連結決算は、最終損益が過去最大となる1兆7080億円の赤字となったようです。

前の期は純利益が4兆9879億円と、国内企業としては過去最大を記録したのですが、それが1年で赤字に転落しました。

大手証券によれば、赤字幅は日本企業で過去2番目の大きさとなり、米国の金融引き締め観測やロシアによるウクライナ侵攻を背景として世界的に株安が進み、投資事業の損益が悪化、国内企業の過去最高益を記録した前期から一転、2期ぶりに赤字に陥っています。

代表取締役会長兼社長執行役員である孫正義氏は、その理由についてコロナ禍やロシアのウクライナ侵攻など、混沌している世界情勢が株式市場に大きな影響を与えているためだと説明し、そこで「守り」の姿勢を打ち出しました。

新型コロナウイルスの影響で赤字となった2020年にも、4.5兆円の資金化プログラムを実施するなどして現金の確保を進めていたのですが、今回も世界情勢の不安に備えこの現金化を継続し、新しい投資についても基準をより厳格化して実行することを進めていくのだそうです。

赤字決算でソフトバンクへの負債や資金繰りを不安視する声に対しても、同社が重視する指標であるNAV(時価純資産)が18.5兆円あること、LTV(純負債/保有株式)が20.4%と、25%を上回らない水準で推移していることをアピールし、ソフトバンク・ビジョン・ファンド(SVF)のNAVについては6兆円が3兆円へと半減しているのですが、孫氏によるば「3兆円下がったが、投資した元本に対してまだ3兆円の利益があることも事実」と、下落はしているが利益は出ていると説明しています。

またかねてより指摘がなされてきた中国への依存が強い構造についても、SVFにおける中国企業への新規投資割合は大幅に減少しているようで、新たな投資は継続しており、2021年度も5.2兆円分の投資を実施したが、その投資資金はSVFなど上場企業の株式を売却した資金の5.6兆円を用いて実施しているほか、守りを固めることを重視し新規投資もより厳選、1件当たりの投資額も縮小するなど、「雨が降ったら傘をさす」(孫氏)という慎重な姿勢を示しています。

コロナ禍の影響を受け2020年に設立し、大きな損失を出して話題となった上場株を主体とした運用投資子会社のノーススターについては「ほぼ手じまいに近い状況にある」と孫氏は説明し、ノーススターを作ったのはアリババが全体の6割の価値を占めていたことから分散化を進めるのが目的であったとのことで、完全にやめるのではなく開店休業に近いくらい縮小し、ノウハウを積み上げ必要に応じて活用する方針のようです。

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