第一生命、銀行参入

銀行代理業への参入を目指している第一生命保険ですが、預金口座を通じ顧客との接点を確保する狙いがある第一生命を警戒する銀行側は保険の販売時に課せられる規制の緩和を訴えており、異業種が銀行業に参入する垣根なき時代に、大手の金融機関によるつばぜり合いが続きそうです。

昨年12月に第一生命は住信SBIネット銀行、楽天銀行のシステムを使って代理業に乗り出す方針を発表し、金融庁の許可を得たうえで、今年半ば以降にサービスを始める計画で、その参入背景には保険金を一度支払えば、契約者との関係を維持しにくくなる現状への危機感があるようで、2020年度に第一生命が支払った死亡保険金や入院給付金は計1兆5000億円弱のようで、保険金を支払ったり、契約が満期を迎えたりしても顧客を預金口座で囲い込み、保険金を投資信託などで運用してもらうなど収益源を重層化していきたい考えのようですね。

こうした動きに銀行界は警戒感を強めているようで、口座を経由したお金の流れを知り得る立場の銀行にとっては、顧客に振り込まれた保険金は運用商品の提案につながる好機でもあり、第一生命が代理業を通じ、預金口座の機能を顧客に提供するのは銀行の領域に踏み込んでくるようなものだと考えているようで、そこで銀行側が訴えを強めるのが、保険の販売時に課せられる規制の緩和。

保険商品の銀行窓販は01年から段階的に認められ、07年に全面解禁されたのですが、それでも銀行が優越的な地位を使い、融資先の企業などに契約を強いる弊害を防ぐ規制は残されています。

大手行は窓販だけではなく、インターネットバンキングやスマートフォンのアプリでがん保険やペット保険を取り扱うのですが、既存の規制に合わせた確認作業に煩わしさを感じ、約9割の顧客が入力の途中で契約を諦めるのだそうで、大手行の担当者は「社長や役員ならともかく、勤め先の会社が融資を受けているからといって従業員までが入力する必要はあるのだろうか」と疑問を投げかけています。

銀行と証券会社で顧客情報の共有に制約を課す「ファイアウオール規制」をめぐっては、証券側の反対論を抑えて大企業向けで規制が緩められることになり、残る論点として、中堅・中小企業や個人向けの規制をどうするか議論が始まる見通しで、ある生保の関係者は「銀行と証券会社の議論が落着すれば、新たな規制緩和の矛先が本格的に保険へ向いてくるのでは」と早くも身構えているようです。

是非フォローしてください

最新の情報をお伝えします