野村証券、相次ぎ地銀連携

野村証券と福井銀行が、金融商品の仲介業務で包括提携すると発表、野村が証券口座の管理や営業面の支援を担い、地元で厚い顧客基盤を持つ福井銀行は運用商品の販売や顧客への対応に専念するようです。

お互いの強みに特化し、業務を効率化しながら預かり資産の拡大につなげていきたい方針で、地方でも貯蓄から資産形成への流れに弾みをつけていくようです。

両社は年内に最終合意し、2023年中に新体制への移行を目指すようで、野村の福井支店に勤める40人以上の社員は福井銀行へ出向し、運用商品の販売に関するノウハウを提供、福井銀行が抱える顧客の証券口座は野村が新たに設ける「金融商品仲介口座」へ移し、野村側で管理するのだとか。

野村がこうした枠組みで地方銀行と提携するのは、20年9月の山陰合同銀行(島根県)を皮切りに阿波銀行(徳島県)、大分銀行に続く4行目となり、都市部で強さを発揮する野村ですが、地方では独力で顧客開拓を進める厳しさに直面しており、会見で野村の奥田健太郎社長は「地方で1、2店舗でやっていくことの限界を感じている」と今後の提携拡大に含みを持たせ、地元で強固な顧客基盤を抱える地銀との協業に切り替え、野村は証券口座の管理や営業面の支援に徹するようで、73年の歴史を持つ福井支店を閉じ、今後は法人取引に特化していくとのことで、すでに地銀との提携が動き出した松江支店や徳島支店は閉鎖済みとなっています。

全国で店舗網を維持するのが難しくなるなか、名を捨てて実を取る戦略といえ、地銀側も長引く低金利により、融資を中心とした伝統的な業務で成長を描きづらくなっており、預かり資産の拡大による手数料の底上げが急務となっています。

会見で福井銀行の長谷川英一頭取は「単独でサービスの質を向上させるには課題が多い」と話し、野村の福井支店と福井銀行で合わせて約4000億円(今年3月末時点)だった預かり資産を、数年後に5000億円まで伸ばしたいようで、単独で運用ビジネスを展開する限り、地銀にはシステムを維持するための経費がのしかかり、コンプライアンス(法令順守)重視の流れで手続きやコストも増す一方で、こうした経費を運用商品の拡販で賄おうとすれば「売り上げ重視の営業に走りかねない」との懸念もあがっています。

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