投資先が相次ぎ経営難

ソフトバンクグループが19億ドル(約2000億円)を出資するイギリスの衛星通信スタートアップ企業ワンウェブが、チャプター11(米連邦破産法11条)を申請したのだそうです。

衛星通信を使った広範囲なネット通信網の商用化に向け、2020年初めから20億ドルの資金調達を目指して交渉を進めていたのだそうですが「あと少しで資金を得られるところだったが、新型コロナによる市場動乱で進まなくなってしまった」ようで、新たな投資家を確保するまでのつなぎ融資を巡って、ソフトバンクグループと条件で折り合えなかったようです。

もともとワンウェブにはヨーロッパの航空機大手のエアバス、半導体のクアルコムなども出資していたのですが、株式の5割近くを握っている筆頭株主となるのがソフトバンクグループで、国内の通信子会社のソフトバンクとも業務提携しており、通信衛星を使った安価なインターネット通信網で21年の商用化を目指し、すでに74基を打ち上げていたのですが、通信衛星はアマゾン・ドット・コムなどの大手が参入し、競争環境が激化してきており、アドリアン・シュテッケル最高経営責任者(CEO)は「他社より打ち上げ高度が高く、通信のカバー範囲も広い」と技術力の高さを自負していたのですが、実際のところ、衛星の打ち上げ費用がかさむなどして資金繰りが悪化していたようですね。

今回、ソフトバンクグループがワンウェブの追加支援に踏み切らなかったのは、足元の市況悪化の影響が大きく、2月下旬以降の株式市場の急落で、株価の下落に見舞われ、23日には自己株式取得と負債削減に向けて4兆5000億円の資産を売却、または資金化すると発表したところで、投資先に対しても従来の積極的な拡大路線から、守りを固める姿勢へと変化していました。

チャプター11とは

チャプター11というのは、アメリカにおける代表的な再建型の倒産法制で「米連邦破産法11条」のことで、申請後に裁判所の命令で債権の取り立てが停止され、経営陣は債権者と負債の整理や契約の見直しを協議しながら、原則120日以内に再建計画を策定し、裁判所の認可を得て経営の立て直しを目指すことになります。

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