短期金利と長期金利

金融市場は、1年未満の資金取引が行われる短期金融市場と1年以上の資金取引が行われる長期金利市場があり、短期金融市場で取引される際につけられる金利のことを「短期金利」といって、代表的なものとしては、担保が必要なく、売買取引が成立した翌日に返済が行われる無担保コールレート(オーバーナイト物)があります。

この担保コールレート(オーバーナイト物)とは、コール市場における無担保での資金貸借のうち、約定日に資金の受払を行い、翌営業日を返済期日とするものにかかる金利のことで、現在、無担保コールレート(オーバーナイト物)は、公定歩合にかわって、日本の政策金利となり、金融政策の誘導目標金利の役割を果たしています。

長期金融市場には、企業が発行する株式を取引する株式市場や、国債や社債などを取引する公社債市場などがあって、公社債市場で取引される際につけられる金利を長期金利といい、単に長期金利という場合には、10年物国債利回りを指すのが一般的となっています。

さて、この短期金利と長期金利、金利の決まり方には違いがあって、ごく近い将来に予想外の経済変動や物価変動などが起こる可能性はものすごく小さいため、短期金利は市場における資金の需給に強く影響を受けます。

そのため日本銀行が金融調節によってある程度コントロールすることが可能となっているため、短期金利は金融政策の影響を受けます。

その一方、長期金利は、ある程度金融政策の影響を受けるとはいえ、それだけにとどまらず、期待インフレ率や期待成長率、リスク・プレミアム、他国の長期金利動向など、様々な動きから影響を受けています。

期待インフレ率というのは、実際に起こった物価上昇率ではなく、消費者や企業、市場などが予想するインフレに対する将来の予測値のことで、この期待インフレ率は、実際のインフレ率と連動するとともに、先行して動く傾向があり、各国の中央銀行はその動向を把握し、目標値を定めてそれに収まるような金融政策を行うこと多く、期待インフレ率が高まれば、長期金利が上昇することになりますし、将来予想される経済成長率を表している期待成長率が上昇すれば、投資を行おうとする人が増え、長期資金の需要が高まり長期金利が上昇することになります。

リスクのある資産の期待収益率から無リスク資産の収益率を引いた差を意味しているリスク・プレミアムは「リスクを引き受けることによって上乗せされる利益」と言い換えることもでき、このリスクが大きいほど、リスクプレミアムも大きくなると考えられ、例えば財政赤字が拡大し、将来的に財政破綻などのリスクが考えられるような場合にリスクプレミアムが増大し、長期金利が上昇することになります。

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