雇調金拡大の後始末、負債3兆円

雇用のセーフティーネットである雇用調整助成金(雇調金)の支払いが拡大しており、その結果、借り入れも膨らみ、新型コロナウイルスの感染拡大当初から2022年9月末までの支給決定額は6兆円を超えたのだそうです。

厚生労働省が9月下旬に公表した収支状況によれば、同積立金からの借り入れは22年度に累計3兆200億円まで増加するようで、この返済には30年超かかりそうなのだとか。

政府はコロナ禍で支給要件を大幅に緩和し、支給額上乗せの特例も設け、コロナ禍で打撃を受けた航空業界や飲食・宿泊サービス、娯楽業などに多く支給し、これにより従業員を機動的に休ませやすく、コロナの感染拡大下でも失業率を2~3%台の低位に抑え、雇用の混乱を防いだと一定の評価はあるものの、企業内に過剰な労働力をため込む「雇用保蔵」を招いています。

コロナ禍で雇調金向けに積立金を貸し出した結果、失業給付向けの積立金はコロナ禍前の4兆4871億円から22年度には2900億円にまで激減する見通しとなっており、雇調金からの返済を当てにせずに元に近づけようとするなら、労働者も負担する保険料率はさらなる大幅引き上げが必要になるようです。

新型コロナウイルスの影響を受けた企業に対する雇用調整助成金の特例措置については、厚生労働省は12月から原則として通常に戻し、特に影響が続く企業は来年1月末までにかぎって経過措置を設けることを決め、一日当たりの上限額は8355円で現時点と変わりませんが、助成率は大企業が75%から50%に、中小企業が90%から67%に戻ります。

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