きらやか銀行への公的資金

山形県を地盤とするきらやか銀行などを傘下に持つじもとホールディングス(HD)が、金融機能強化法にもとづく公的資金注入の申請に向けた検討を始めたようで、新型コロナウイルス禍で疲弊する中小企業支援を目的とした特例制度を活用するようです。

申請理由については、きらやか銀行の取引先にコロナの打撃を受けた温泉旅館や観光業者が多く「コロナを乗り越えていくため、今まで以上にリスクテークを行う観点から、あらかじめ資本増強が不可欠と判断した」としており、申請金額や払込時期などは今後詰めていくのだそうで、地銀への公的資金注入は豊和銀行以来、8年ぶりとなります。

特例による公的資金は通常15年の返済期限を事実上撤廃したいわば「永久公的資金」で、公的資金を検討するきっかけになった理由は2つあり、ひとつは「有価証券運用の苦戦」で、米国の金融政策が利上げへ大きく動き、ロシアによるウクライナ侵攻が世界の市場を混乱させ、世界的な金利上昇で保有する外国債券の価格が下落し、経営を圧迫したようです。

もうひとつの理由は、ポストコロナを見据えた企業再生がこれから本番を迎えることで、今までは政府による財政支援が企業を支えていたのですが、今後企業の再生を後押しする役割は金融機関に託され、不良債権処理を迫られる場面も今後増えることになります。

そんな金融機関を支えるため、金融庁が2年前の2020年に用意した切り札が、金融機能強化法の改正案で、その目玉が公的資金の「コロナ特例」で、コロナ特例は収益性や効率性の目標を求めず、経営責任も求めないことから、それまでの公的資金の原則とは一線を画していました。

最大の違いは15年以内に返済を求めていた期限の事実上の撤廃で、いわゆる「永久型」に転換したこと。

この狙いは自己資本不足で貸し渋りや貸しはがしを起こさないようにすることで、銀行に対して甘い措置にも見えるのですが、コロナ禍で落ち込む企業を銀行が支え続けられるようにするための安全網でした。。

とはいえ、公的資金で地銀を支え続けることが健全であるとはいえず、きらやか銀行が公的資金を申請するのは、リーマン・ショック後の09年、東日本大震災が起きた後の12年、そしてコロナ・ショック後の今回と3度目になる見込みとなっています。

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