老舗企業の倒産・休廃業

帝国データバンクがまとめた創業100年以上の企業を対象にした「老舗企業倒産・休廃業・解散の動向調査」によれば、2019年度は倒産、休廃業、解散合わせて前年度比24.5%増の579件となり、5年連続増となったようで、さらに件数・増加率ともに過去最多を更新したのだそうです。

579件のうち、法的整理により倒産した企業は105件(同4.0%増)、休廃業・解散は2000年度以降で最多の474件(30.2%増)となり、休廃業・解散は過去最多、増加率も過去最高を記録、法的整理に追い込まれる前に、休廃業や解散に踏み切る背景には、経営者の高齢化と後継者難もあるとみられているようですね。

日本は世界有数の長寿企業大国として知られ、業歴100年以上の老舗企業は全国で3万社を超えているのだそうですが、近年、少子高齢化など事業環境の変化が一層スピードを増しており、昨年の増税、今年に入ってからのコロナウイルスの影響など国内市場の長期低迷が続き、長い業歴を有するだけでは生き残りが難しくなってきているようですね。

業種別だと最も多かったのは「小売」の209件で、全体の36.1%を占めているのだそうで、増税だけならともかく、まだまだ終わりの見えないコロナウイルスの影響が1番大きくのしかかっているようで、業種細分類別では「酒小売」が26件で最多となっており、古くから地域に根付いて商売をしてきた「近所の酒屋さん」「町の洋品店」などが、次世代に引き継ぐことを諦め、黒字経営のまま店を閉じるケースも少なくないのだそうですよ。

ディスカウントストアや量販店、スーパーなどが相次ぎ参入し、さらにはインターネットの普及によって通販が定着してきた今、街の商店街の小さなお店では、なかなか勝負するのは厳しいでしょうし、生活環境の変化は身近なところで大きく変化しますよね。

また都道府県別で最も多かったのは、兵庫県の35 件で前年度(14 件)から大幅に増加し、2015年度以来 4年ぶりの全国最多となったようで、1895 年に創業し、淡路瓦の生産で全国トップクラスを誇った近畿セラミックスが破産しています。

住宅市況の低迷、度重なる震災被害で「消費者の瓦屋根離れ」が進んだことも影響しているようで、兵庫県では、甚大な被害が発生した阪神淡路大震災以降、本格的な業績回復が進まないまま事業継続を断念する老舗企業も少なくないのだとか。

その他では、東京都で31 件、愛知県で24 件、新潟県で23 件となったようで、昔ながらの企業がなくなっていくのは寂しい限りですね。

2018年に倒産した企業の平均寿命は23.9年と、3年ぶりに前年を上回っているのですが、ひょっとすると2019年、2020年の平均寿命もこれを上回ってくる可能性もありますよね。

というのも、老舗企業の倒産ともなると操業年数は長いでしょうし、多くの老舗企業が倒産するともなると、その平均年数が上りそうですからね。

数字だけを見ると平均寿命が伸びるのはいいことなのですが、そのときの経済状況を鑑みて考えなければ、その本質は見抜けなさそうです。

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