損益通算とは?

赤字の所得を他の所得から差し引くことを「損益通算」と言って、2種類以上の所得があり、1つの所得は黒字だったけれども、他の所得が赤字だった場合、この2つの所得を一定の順序に従って、差引計算することができます。

とはいえ、全ての所得の赤字が他の黒字と損益通算できるというわけではなく、所得税では「不動産所得」「事業所得」「山林所得」「譲渡所得」の金額計算上生じた損失金額があるときに限り、損益通算することができます。

対象では無い損失

以下の項目については損益通算tの対象とはなりません。

  1. 配当所得、給与所得、一時所得の各種所得の金額の計算上生じた損失金額
  2. 不動産所得金額の赤字のうち、土地等を所得するために要した借入金の利子に対応する金額
  3. 生活に通常必要ではない資産から生じた損失金額
  4. 土地、建物の譲渡所得(一部を除く)、株式などの譲渡所得、先物取引の雑所得金額の計算上生じた損失

損失の金額については、以下の順序により控除を行います。

  1. 不動産所得の金額、または事業所得の金額の計算上生じた損失の金額は、「利子所得」「配当所得」「不動産所得」「事業所得」「給与所得」「雑所得」の金額から控除。
  2. 譲渡所得の金額の計算上生じた損失の金額は、一時所得の金額から控除。
  3. ①で控除しきれない場合、譲渡所得の金額に次いで②の一時所得の金額から控除。
  4. ②で控除しきれないときは、これを経常所得の金額から控除。
  5. ③④でも控除しきれない場合、山林所得の金額から控除し、次に退職所得の金額から控除
  6. 山林所得の金額の計算上生じた損失の金額は、経常所得、津美に譲渡所得、一時所得の金額、さらには退職所得の金額の順で控除。

何やら複雑な順番となっていますが、これは所得の性質を考慮されており、まずは同じ性質の所得と通算、次に性質の違う所得と通算するということになっています。

上場株式などに係る譲渡損失については特例が設けられており、金融商品取引業者等を通じて売却した上場株式等に譲渡損失が発生した場合、その年分の上場株式等の配当所得の金額と損益通算を行うことができます。

それでも控除しきれない場合、さらに翌年以降3年間に渡って損失を繰り返し、上場株式等の譲渡所得、配当所得の順に控除していくことになるのですが、一般株式等の譲渡所得等の金額からは控除できないことになっていますので、注意が必要です。

この特例を受けるためには、上場株式等の譲渡損失が生じた年から繰越控除をする期間にわたって、連続して確定申告を行う必要があり、その間、上場株式等の譲渡がない年があったとしても、譲渡損失を繰り返すために確定申告書は提出しなければなりません。

また、上場株式等に係る譲渡損失と上場株式等に係る配当所得の損益通算を行う年の確定申告書には、この特例を受ける旨を記載するとともに、「所得税及び復興特別所得税の確定申告書付表」および「株式等に係る譲渡所得等の金額の計算明細書」を添付して提出します。

譲渡損失を繰越控除する場合は、譲渡損失発生後においても連続して「所得税及び復興特別所得税の確定申告書付表」を添付した確定申告初を提出することになります。

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