企業の資金調達に逆風

アメリカ企業の資金調達環境が悪化しており、企業が事業に必要な資金を調達するために発行する短期(主に30日以内)の無担保約束手形であるコマーシャルペーパー(CP)市場では、買い手が減って発行できない企業が出てきているようです。

また手元資金を確保しようと、銀行からの借り入れに奔走する例も目立ってきているそうで、全世界を巻き込んでいる新型コロナウイルスによる市場混乱が長引けば、一部の企業は資金繰りに行き詰まりかねない状況となっており、さらには企業破綻への懸念が株安を加速させており、FRBは近くCPの購入に乗り出す可能性があるのだとか。

CPは、企業が1カ月間など短い期間の資金を借りるために発行する約束手形で、アメリカ市場は約1兆ドル、日本円にして約105兆円の残高があり、金融機関や、債券などで運用するMMFが主な買い手となっており、3月に入り発行が顕著に減少、ダブルA格の事業法人では1日平均の発行額が28億ドルと昨年11月から4割も減っているのだとか。

その影響からか銀行の一部は、いったんCPの引き受けを停止、さらにはCPの金利は跳ね上がっており、航空機大手ボーイングでは国債に対する上乗せ金利が年初の0.3%から1.4%に、石油大手エクソンモービルの上乗せ金利は1カ月前の0%近辺から0.6%に高まり、感染拡大の影響が大きいホテルやレジャー関連でも軒並み上昇が目立っています。

FRBはCP市場を通じたアメリカ企業の借り入れを支援するため、金融危機時に導入したプログラムを復活させ、財務長官承認の下、CP資金調達ファシリティー(CPFF)を設立、財務省は為替安定化基金を用いて、100億ドル(約1兆700億円)の信用保証を提供するのだそうです。

しかし、FRBの矢継ぎ早の資金供給策でも、市場の動きは改善が遅れており、FRBは政策金利を0~0.25%に下げたとはいえ、16日の銀行間金利は平均0.26%とそれを上回っており、一部では2%という高い水準の金利での取引もみられるようで、ホテルチェーンのヒルトン・ワールドワイドなどは、あらかじめ銀行と取り決めた融資枠を取り崩しつつあるとされ、金融機関も手元資金の確保を迫られています。

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