企業の内部留保が過去最高

財務省の発表によれば、2018年度の法人企業統計で企業の内部留保にあたる利益剰余金は、463兆1308億円となり、前の年度に比べ16兆6000億円余り増加、7年連続で過去最高を更新したのだそうです。

2018年度は企業の売上高が0.6%のマイナスとなって3年ぶりの減少に転じたとはいえ、経常利益は0.4%のプラスで9年連続の増益、その一方で、今年4月から6月期の経常利益は、米中貿易摩擦の影響によってスマートフォン向け部品の需要などが落ち、12.0%の減益となり、先行きへの不安も出てきています。

内部留保

そもそも内部留保というのは、企業の純利益から、税金、配当金、役員賞与などの社外流出分を差し引いた残りのお金のことで、公表内部留保と実質内部留保にわけることができます。

公表内部留保というのは、貸借対照表上の「純資産の部」にある「利益剰余金」をさしていて、公表された財務諸表に示されていることから、こう呼ばれ、実質内部留保は「引当金」「特別法上の準備金」「資本剰余」が該当します。

ちなみに、日本の国家予算は一般的には約100兆円程度だと言われているのですが、この国家予算は「一般会計」という国の事業に使う基本的な費用だけの金額となっており、政府予算には「一般会計」のほかにも「特別会計」というものがあり、この特別会計は200兆円程度と見られており、この2つを足すと日本の国家予算は300兆円となるのですが、この規模よりも内部留保の金額の方が大きいわけですから、なかなか恐ろしいものですよね。

さてこの企業の内部留保はなぜ増え続けるのでしょうか?

ビジネスにおいては、儲けた金で設備投資や人材育成など、投資に回し、さらに利益を追求していくものなのですが、なぜか日本企業の中ではお金ばかりが溜まっていくばかり・・・。

よく言われるのは、企業にとって魅力的な投資先がないため、投資を控えているというものなのですが、政府が企業の投資に税制上の優遇策など様々な恩典を与えており、2018年度は全産業で8.1%設備投資が増えているわけですから、企業側がただ単に溜め込んでいるというわけでもなさそうですし、株主への還元も国際水準に比べて低いとはいえ、2018年度の配当金の総額は26兆2068億円となり、前の年度に比べて12.4%も増えています。

実際問題としては、やはり人件費の伸びが小さいことのようで、最低賃金の引き上げが続いているとはいえ、まだまだ人件費の伸びは小さく、雇用者数は過去最多を更新し続けているのですが、1人当たりの人件費はむしろ減少している可能性が高いのだとか。

今年10月から消費税率が引き上げられますし、ますます税負担が増え、家計の所得は減少傾向が続いていきます。

景気が上向きつつあるとは言え、一向に消費が盛り上がってこないのは、たんに家計が貧しくなっているからなんですよね。

増税前時期でもこのような消費傾向なのですから、キャッシュレス還元があるにせよ、さらに消費が落ち込んでいくのは目に見えていますね。

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