家計の資金余剰、18.3兆円

日銀が発表した4~6月期の資金循環統計(速報)によれば、家計の貯蓄の余裕を示す「資金余剰」の金額は18.3兆円と過去最大となったようで、新型コロナウイルスの感染拡大による消費活動の低迷や政府の給付金が影響しているのではないかと見られています。

日銀は四半期ごとに各部門の資金過不足の状況を公表しており、資金過不足は期間中に得た資金と使った資金の差額で、収入が支出より多ければ資金余剰、少なければ資金不足となるわけですが、4~6月期の家計部門の資金余剰は1~3月(4.2兆円)からなんと4倍超にも膨れ上がったのだそうで、政府による1人あたり10万円の特別定額給付金で収入が増えた一方、外食や観光などの消費が抑えられ支出が減り、この資金余剰額は東日本大震災後の自粛が広がった2011年4~6月期(10.1兆円)を上回り、統計をさかのぼれる2005年以降で過去最大を更新したようです。

企業部門では、6兆円の資金余剰だった1~3月期から一転し、1兆円の資金不足となり、不足額は震災後の11年4~6月期(4.6兆円)に次ぐ大きさで、経済活動の停滞で収益が急減した一方、給与や賃料の支払いなど運転資金が流出しています。

金融機関からの借り入れも増えているとはいえ「減収分を補うだけで前向きな設備投資には回っていない」ようで、政府部門の資金不足は19.1兆円と、1~3月期(3.9兆円)から5倍近くに増えています。

過去最大の緊急経済対策に伴うもので、不足額はリーマン危機後にあたる09年1~3月期の14.4兆円を超え11年ぶりに過去最大となり、政府からの資金が家計に滞留している形となっています。

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